Midori Skincare Clinic

04-2935-4136診療時間:AM9:00〜PM12:00、PM3:00〜6:00 休診日:木・日祝

皮膚科で扱う主な疾患について

かゆみを伴うことが多いもの

■じんま疹

からだの一部あるいは全身に突然とムズムズあるいはチクチクしたような痒みを伴う紅斑や虫刺されあるいは地図のようにわずかに盛り上がった膨隆疹がたくさんできる発疹です。この発疹は数時間~1日程度で一時的に消えるのですが、体の別の部位に新たな痒みを伴う発疹がみられます。激しい痒みを伴うこともあるにも関わらず、発疹が消えると跡を残さないことが湿疹との相違点になります。じんま疹は数日~数週間で軽快するものと、1ヶ月以上続くものがあります。じんま疹は食物や薬の摂取、寒冷や温熱といった物理的刺激が原因で、皮膚組織内に存在する肥満細胞(マスト細胞)から痒みを引き起こすヒスタミンという物質が分泌されるために起こります。肥満細胞は IgE抗体という免疫タンパクにより活性化されるため、慢性に続くものは血液中の IgE抗体が高くなる傾向にあります。疲労や精神的なストレスに加えて細菌やウイルス感染などによってもじんま疹が起こるとも考えられています。じんま疹の治療は対症療法として抗ヒスタミン剤の内服を行いますが、食物や薬が原因の場合は摂取20~30分程度でじんま疹が出現するため、原因がはっきりした場合にはそれを除去します。しかし原因がわかる場合はむしろ少なく、じんま疹が長期にわたる場合は医師の指示に従いながら徐々に抗ヒスタミン薬の投与量を調整していくことが肝要です。じんま疹が気管支や腸の粘膜にまでおよんで呼吸困難や下痢、腹痛を伴う場合には入院による治療が必要なこともあります。重度なじんま疹が続き血液中の IgE抗体が高い場合にはオマリズマブが奏功しますが、毎月の注射代が27,347円(3割負担の場合)と高額となります(当院では行っておりません)。

■湿疹

皮膚の表面は角質層で覆われ、その間では角質間細胞脂質により水分量を適切に保ち外界からのアレルゲンの侵入を防いでいます。これを「皮膚バリア機能」呼びますが、外部からの刺激により皮膚バリアが壊れ、皮膚の免疫バランスを欠いた結果、皮膚に炎症を生じた状態を湿疹といいます。湿疹は皮膚科で見られる代表的な疾患の一つですが、その原因は手荒れや皮脂欠乏症、アトピー皮膚炎などのようにもともと皮膚の乾燥しバリア機能が壊れたものばかりか、ウイルス感染や薬剤アレルギーによる痒みのために皮膚を自ら掻き壊してバリア機能を壊した結果生じるものなどがあります。湿疹の症状は皮膚が赤くなり、表面に乾燥や小さな水ぶくれの集まりを伴います。湿疹の多くは痒みを伴いますが、痒みは我慢するこのとできない皮膚の異常感覚の一つでありどうしても掻き壊しがちになり、その結果かえって湿疹を長引かせたり、湿疹を引き金に全身に痒みを引き起こしたり、湿疹に細菌感染をきたし「とびひ」になったりと逆に悪化をさせてしまうことがほとんどです。したがって痒み止めやステロイド外用剤によりこうした悪循環を断つことが湿疹を治療するために重要になります。湿疹の診断をしていると時に非ステロイド系の外用薬や保湿剤で皮膚バリア機能を改善させることで湿疹を治せないものか?との要望をいただくのですが、上に述べたとおり湿疹は皮膚バリア機能の傷害と免疫バランス異常をきたしたが故に生じたものなので、そのどちらか一方のみを改善させても治ることは困難で、車の両輪を揃えるようにステロイド外用剤も用いることで皮膚バリア機能の傷害と免疫バランス異常の両者を改善させることが必要です。また非ステロイド系の外用剤は近年では逆に湿疹を悪化させることがわかってきており、当院では湿疹の治療には原則使用をしていません。なお、ステロイド外用剤はその強さでも5段階あり、また軟膏、クリーム、液剤、貼付剤など様々であり、皮膚科医は皆これを駆使するために修練を積んでおり、一朝一夕に習得できるものではありません。従って湿疹といえども侮らずに信頼できる皮膚科を受診することをお勧めいたします。

■手湿疹、皮脂欠乏性湿疹

洗剤やナイロンタオルで擦って角質細胞を傷つけたりするといわゆる「手荒れ」や四肢や体の「皮脂欠乏症」を来します。これは皮膚バリア機能が壊れた状態であるばかりか、皮膚の知覚神経が皮膚の表面に露出もして痒みを伴います。手荒れを放置したり、皮脂欠乏症を掻破し悪化をさせると、「手湿疹」や「皮脂欠乏性湿疹」となります。手荒れや皮脂欠乏症であれば保湿クリームで皮膚を保護し、皮膚バリア機能を保持をすれば良いのですが、手湿疹や皮脂欠乏性湿疹にまで至ると保湿クリームのみならずステロイド外用剤の併用が必要です。

■舌なめずり皮膚炎

くちびるの乾きやすい時期にくちびるを舌で舐め回して保湿するという物理的刺激を繰り返すことで口の周囲がざらついて赤くなるかぶれの一種です。子供によく見られ、冬に多く、口の周りの舌が届く範囲のみが赤くなるため診断は比較的容易です。舐め回す行為を止めれば治りますが、ヒリヒリとした刺激もあるために保湿剤やステロイド外用剤を用いることもあります。しかしこれを中止するのは子供にとっては意外と困難で5月頃まで繰り返すこともありますが、ときに口紅やリップクリーム、摂食時の食べ物によるかぶれ、カビの一種であるカンジダ菌によることもあるため、治りにくい場合は皮膚科を受診すべきかと思われます。

■汗疱・汗疱性湿疹

汗疱とは手掌や足底に小水疱を生じたり、皮膚が剥ける状態です。汗疱では痒みは伴わないことが多いものの、炎症を生じ湿疹になると赤く痒みを伴います。緊張した時や季節の変わり目などによくみられます。手のひらや足の裏に汗をかきやすい体質のヒトに生じやすく特に小学生~高校生に多いのですが、中年期以降になると少なくなります。湿疹になって痒みを伴う場合にはステロイド外用剤を用います。制汗作用のある精神安定剤や抗ヒスタミン剤などの内服を用いることもありますが、眠気の副作用を生じることもあり自動車の運転をされるかたや学生の場合は注意が必要です。このようなかたは制汗作用のあるミョウバンというアルミニウムの結晶を用いることもあります。手の掌の発汗量が多く日常生活に支障を来すようであれば、ブロック注射や交感神経遮断術などが可能な施設を紹介いたしますが、もともと「汗をかく」という状態は体の体温調節をしている状態ですので、代償性発汗といって手以外の発汗量が増える可能性もあります。

■異汗性湿疹

大量の発汗により汗の出口が垢などで閉塞し額、胸や背中の正中部に細かい水ぶくれが多発したり、痒みをともなう細かい赤い発疹がみられます。蒸し暑い5~9月頃に発症しやすく、発汗量の多い小児に生じやすい傾向にあります。軽度なものであれば、木綿のシャツなどで汗を吸収させてこまめに着替えることやシャワーなどのスキンケアで自然に軽快をしますが、炎症を生じて湿疹になった場合はステロイド外用剤を用いて治療します。異汗性湿疹は足のゆびの間に汗が溜まってジクジクし、あたかも水虫と似た外観を示すことがあります。まさにニセみずみしの状態ですが、見た目だけでは異汗性湿疹かみずむしかの区別は困難で顕微鏡でみずむし菌の有無を確認することが必須です。当院でも異汗性湿疹にみずむし薬を外用してかぶれをきたして受診される患者さんも多いです。足のゆびの間がジクジクした場合は必ず皮膚科を受診しましょう。

■アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は角質細胞間脂質そのものが減少し皮膚バリアが低下するのみならず、皮膚に存在するリンパ球がバランス異常をきたして発症する全身性の湿疹病変です。アトピー性皮膚炎は乳幼児期では全身性にびらんやジュクジュクした滲出性の湿疹がみられますが、2,3歳頃には全身に乾燥性の湿疹をきたすようになります。適切にコントロールをしていけば12~15歳頃までに軽快をしますが、不適切な治療や重度な状態が続くと顔面を中心に皮膚が固くなったような頑固な湿疹を生じるようになります。これを成人型のアトピー性皮膚炎と呼び、目の周りをこすり過ぎることで視力低下をきたすこともあり、アトピー性皮膚炎が長期にわたるようであれば、眼科との連携が必要になります。アトピー性皮膚炎の治療は、皮膚バリアの改善をさせるべく保湿を徹底し、さらに抗アレルギー剤の内服やステロイド外用剤、タクロリムス軟膏によるリンパ球のバランス異常をコントロールする必要があります。なおステロイド外用剤は非常に多種あるため、当院では診察を行うたびに皮膚をチャックしながら適宜ステロイド外用薬の強さを調整しています。重度なアトピー性皮膚炎ではシクロスポリンの内服やデュピルマブの注射などが必要な場合もありますが、当院での治療が困難と判断をした場合には近隣の大学病院との連携を取りながら適切な治療を行えるようにしています。

■脂漏性皮膚炎

皮脂の分泌が多い頭部や顔面、脇の下に生じ、慢性に経過する湿疹です。乳児期に生じる場合と思春期以降に生じるものがあり、乳児に生じるものは胎児の時に母体から受け継いだ性ホルモンの関与により生じます。頭部や顔面に黄色~白色の厚みを持ったカサブタが見られ、適切に沐浴を続けていけば大抵は1歳頃までに軽快をします。時にアトピー性皮膚炎の初期と紛らわしいこともありますが、1歳頃までに軽快をすることと頭部や顔面などに限局することが鑑別点です。沐浴のみで治らない場合はステロイド外用剤を併用することもありますが、厚いカサブタを無理に剥がすと髪の毛まで抜けてしまうこともあり、オリブ油やつばき油を塗布し5分間程度経過させてカサブタを柔らかくさせてから沐浴して洗髪すると無理なくカサブタを落とすことができます。いっぽう思春期以降に生じるものは皮脂分泌機能の異常によるとされ、頭部に細かいフケが付着し、剥がれ落ちます。眉毛の間や小鼻、耳の穴の周囲にも細かいフケのような鱗屑がついた赤い発疹も見られ、痒みも伴うこともあります。皮脂分泌機能の異常は食生活や生活習慣、ホルモンバランス異常、ストレスなどにより生じ、これらが複合的に関与しているものと思われます。また皮脂を好むカビ(真菌)の一種であるマラセチア菌の関与も指摘されています。思春期以降の脂漏性皮膚炎はビタミンB2、B6や痒み止めの内服に加えてステロイド外用剤を併用しますが、数年にわたり寛解と再燃を繰り返すため根気よく治療を継続することが大切です。しかしながら時に皮膚筋炎や乾癬といった全身性の皮膚疾患の初発症状のこともあり、漫然と治療を行うのではなく信頼できる皮膚科専門医に定期的に診察を受けながら治療を行うべきと思われます。

■酒さ様皮膚炎

もともとのステロイド外用薬への感受性が高い体質を持っている人が不適切な強さのステロイド外用薬を数ヶ月にわたって使い続けることで生じます。口の周りにできるものを口囲皮膚炎といい、Fosobacteria という常在菌の関与も指摘され、テトラサイクリン系抗菌剤の内服やメトロニダゾールなどの抗菌薬に外用を併用することがあります。原則的にステロイド外用薬を使用を中止することが必須ですが、治療開始当初の1ヶ月間は急激なステロイド外用剤の中止による禁断症状が現れるため、顔面全体が赤く腫れて悪化します。ステロイド外用薬中止後3ヶ月程度で軽快をします。

■花粉症皮膚炎

冬の乾燥肌で皮膚バリアの弱い状態のまま春を迎えスギ花粉などに皮膚が晒されると、皮膚の内部でアレルギー反応をきたし眼の周りや頬に湿疹ができることがあります。これは花粉症皮膚炎と呼ばれ、多くはスギ花粉の飛散する2月~4月頃にみられます。花粉症皮膚炎はステロイド外用薬を用いることで1,2週間程度で改善するものの、アレルゲンとなる花粉が飛散している間は湿疹を繰り返すという特徴があります。実際に血液検査をしてみるとスギ花粉にアレルギー反応を起こす体質を持っているばかりか、アトピー体質を持っていることもあります。そのような患者さんはタクロリムス軟膏(プロトピック)軟膏で湿疹を抑えることができます。花粉症皮膚炎は幼児から高齢者までの幅広い年齢層にみられとくに20代~50代の女性に多くみられます。これは冬の乾燥肌に加えメイク落としで皮膚のバリア機能が一層弱くなるためと考えられています。スギ花粉の飛散時期を過ぎても花粉症皮膚炎が続くひともいますが、スギ花粉以外にもヒノキやブタクサ、ホコリ、ダニなどでも花粉症皮膚炎を生じることがあるようです。眼の周りや頬のあたりがカサカサして湿疹を繰り返すようであれば、それがいつまで続くか当院で血液検査をし最適な治療方法を提示したいと思います。

■虫さされ皮膚炎

虫さされ皮膚炎とは、蚊、ブヨ、ダニ、蜂、ケムシなどにより生じた皮膚炎です。ひとくちに虫さされといっても、ヒト血を吸うもの」、「ヒトを噛むもの」、「ヒトをさすもの」に分けられます。

虫刺されの原因 原因となる虫の種類
ヒト血を吸うもの 蚊、ブヨ、ノミ、ダニ
ヒトを噛むもの クモ、ムカデ
ヒトをさすもの ハチ
有毒の毛によるもの ケムシ、チャドクガ

虫さされ皮膚炎は虫の体液などのアレルギー反応であり、即時型アレルギーと2~3日後に生じる遅延型アレルギーがあります。虫刺されによるアレルギー反応を中途半端に引きずるとそれが慢性化しかゆみが持続する痒疹となったり、細菌感染をきたし「とびひ」になることもあります。このため抗ヒスタミン剤やステロイド剤で早く治療をすることが大切です。蜂さされは赤く腫れて痛みを伴い、繰り返すとアナフィラキシー・ショックを引きおこして命に関わることもあります。一度蜂刺されでアナフィラキシー・ショックを引き起こすと、その後も同様の症状を起こす危険性が高いため、それに備えエピネフリン製剤(エピペン®)を常に携行する必要があります。当院ではアナフィラキシー・ショックへの対応は困難ですが、エピペン®を処方は可能です。ただし有効期限が1年ほどで毎年処方をする必要があり、処分は医療機関で行わなければなりません。

■かぶれ(接触皮膚炎)

「かぶれ」というと、多くは何かに接触した直後からその部位が赤く腫れ、水ぶくれになったり、ただれたりするイメージがあるかと思います。かぶれはその発症メカニズムにより3つに分けられ、刺激の強い物質に触れて生じるもの(刺激性接触皮膚炎)、アレルギーによって起こるもの(アレルギー性接触皮膚炎)、肌に触れた物質が光によって刺激性のものに変化してかぶれたもの(光接触皮膚炎)に分けられます。以下の表のようにかぶれは日用品によって起こるものが多く、一度かぶれた物質は生涯にわたってかぶれるため二度と使用できなくなります。また知らず知らずのうちにかぶれを起こしているものもあるため、当院では必要によりパッチテストを行なっております。

かぶれを起こすもの 代表例
化粧品・ヘアケア製品 スキンケア類・ファンデーション・口紅・アイシャドウ・香水・シャンプー・石けん
アクセサリー類 ニッケル・コバルト・クロム・銅・銀・プラチナ・金
衣 類 下着類・ストッキング・セーター・靴下・マフラー・手袋・帽子・ゴーグル・おむつ
植 物 ウルシ・ギンナン・プリムラ・(サクラソウ科の園芸植物)・アロエ・水仙・キク・ヨモギ
洗剤・化学薬品 洗剤・消臭剤・防虫剤・接着剤
刺激性物質 異汗性湿疹に誤用したみずむし薬、便によるおむつかぶれ、強酸やアルカリによる化学熱傷、昆虫の毒

■毛染めによるかぶれ

頭皮がカサついて荒れていたり、湿疹や小さな傷がある状態で毛染めをすると、皮膚に染み込んだ毛染めの色素によりかぶれをきたすことがあります。大抵は毛染めを行なった半日後くらいより頭部や顔、首などにかゆみが見られ、その後赤く腫れたり、水ぶくれを生じます。毛染めをした2日後くらいには頭皮からジクジクとした滲出液が見られ、まぶたや顔全体も赤く腫れることがあります。これは皮膚に染み込んだ毛染めの成分にアレルギー反応を生じた結果により起こったものです。一度アレルギー反応を起こした毛染めの成分は使用するたびにアレルギー反応を伴い、やがて全身にかぶれを生じたり、アナフィラキシー・ショックを引き起こすこともあり大変危険です。毛染めには酸化染毛剤、非酸化染毛剤、ヘアマニキュア・カラートリートメントがありますが、このうち特にかぶれを起こし安いのは酸化染毛剤です。

■酸化染毛剤とは?

酸化染毛剤は現在最も普及している毛染めです。2~3ヶ月間と色持ちが長く、茶色のみならず金髪やピンク色など色合いも豊富なことからおしゃれ染めに使用されています。その反面ときに酸化染毛剤の毛染め成分であるパラフェニレン・ジアミンによって重度なかぶれを引き起こすことがあります。さらに酸化染料は衣類や皮革製品にも用いられていて、一度酸化染毛剤にかぶれるとこうした日常生活品に交差アレルギー反応を起こしてかぶれることがあります。このほか毛染めには鉄イオンとポリフェノールが反応し黒色の色素となる非酸化染毛剤(”お歯黒”式染毛剤)、酸化染料を含むヘア・マニキュアやカラー・トリートメントなどがあります。これらは酸化染毛剤に比べてかぶれにくいことが利点である反面、色合いが少ない点や色持ちが短いなどの欠点があります。

毛染めの種類

効果 利点 欠点
酸化染毛剤 2~3ヶ月 色合い豊富、白髪・黒髪に使用可

重度なかぶれを起こすことがある

日用品に交差反応を起こすことがある

非酸化染毛剤 1ヶ月 かぶれにくい 白髪以外に使用できない

ヘアマニキュア

トリートメント

2~4週間 かぶれにくい 雨や汗で色落ちする

■毛染めによるかぶれの治療

酸化染毛剤による毛染めかぶれは重症化しやすく、数週間持続することもあリます。抗ヒスタミン剤の内服やベリーストロング以上の十分な強さのステロイド外用剤を用いて治療をしますが、重度な場合は2〜3週間程度ステロイドの内服治療を行う必要があります。途中で治療を中断するとかぶれが再燃することもあります。また必要であればパッチテストを行い、使用可能な毛染めを紹介しています。

慢性に経過するもの

■皮膚そう痒症

皮膚に発疹が見られないにも関わらず痒みだけが現れる状態を皮膚そう痒症と言います。尿・便などの刺激が加わったり、高温多湿になる外陰部や肛門周囲に限って痒みを生じる限局性皮膚そう痒症や全身のあちこちに痒みが現れる全身性皮膚そう痒症があります。全身性そう痒症の原因として皮膚の保水力が低下した高齢者や糖尿病患者さんに見られるもの、腎機能が低下したり透析中の患者さんに見られるもの、慢性肝炎や肝硬変などの患者さんに見られるもの、内臓悪性腫瘍に併発して見られるものなどがあります。また原因が不明なものや時に精神的なストレスに伴うものも見られることがあります。全身性皮膚そう痒症はさまざまな原因で生じ慢性に経過することも多いことから、まずは原因となる病気や背景を調べながら、治療を進めて行きます。その治療はかゆみ止めの内服や保湿剤などを用いて治療しますが、痒みにより湿疹や細菌感染を伴うこともありステロイド外用剤や抗生剤なども併用することもあります。

■乾癬

全身にわたり表面に厚い銀白色のフケが固まったような鱗屑を付着した円形~楕円形のわずかに隆起した紅斑が見られる慢性に経過する疾患です。頭部のみならず機械的に擦れやすい肘頭部(ひじがしら)や膝蓋部(ひざがしら)、手指の関節面、尾骨部や殿部などに発症しやすく、痒みを伴うため、鱗屑をむしって点状の出血をきたします(ケブネル現象)が特徴です。また手や足の指の爪が点状に凹んで見られることも本症の特徴です。詳しい原因はよく分かっていませんが、男女比は2:1で肥満、糖尿病、高脂血症に合併しやすいため、遺伝的な素因に環境因子が作用して発症をするのではないかと考えられています。乾癬の治療はステロイドや活性型ビタミンD軟膏などの外用療法に痒み止めなどを併用することが主体となりますが、皮疹が全身におよぶ場合は紫外線やエキシマランプによる光線療法などを用いることもありますが、不適切な治療や感染症などのストレスにより高熱とともに全身に細かい膿を持ったり(膿疱性乾癬)、関節リウマチのように手指や手首の関節が腫れて変形をきたす(関節症性乾癬)こともあります。こうした場合は高度な施設でビタミンA誘導体のレチノイドや免疫抑制剤のシクロスポリンなどの内服薬を併用することもあります。近年乾癬の発症にTNF-α、IL-17A、IL-12/23などの炎症性物質の関与が分かってきており、これらを抑制するバイオロジックス(生物学的製剤)の注射や乾癬の発症に関与しているリンパ球そのものの活性を抑えるアプレミラストなどが乾癬の新たな治療として注目をされています。

■当院で可能な乾癬治療

ステロイドや活性型ビタミンD軟膏などの外用療法、レチノイド内服、アプレミラスト内服
ただし、レチノイド内服、アプレミラスト内服は大学病院などで確定診断のついた例に限ります。重症例やバイロジックスが必要と思われる場合には近隣の医療機関との連携をしています。

■掌蹠膿疱症

手の掌や足の裏に小さな膿疱や鱗屑を伴う紅斑が見られ、これが年余にわたり繰り返す慢性に経過する炎症性疾患です。痒みや痛みを伴うものの膿疱の内部に細菌や真菌は見られず、これを無菌性膿疱と言います。無菌性膿疱内には無数の白血球の残存が見られますが、なぜ手の掌や足の裏にこのような無菌性膿疱ができるのかよく分かっていません。ステロイドや活性型ビタミンD3の外用薬、コルヒチン、レチノイドなどで治療をします。不十分な治療を行ったり、感染症などのストレスなどにより胸骨と肋骨の関節が骨化して呼吸時の痛みを伴うことがあるので、十分な治療が必要です。難治の場合には紫外線治療や免疫抑制剤などを併用することもあります。時に歯科金属のアレルギー、喫煙による慢性扁桃炎、虫歯、慢性の副鼻腔炎などに見られることがあり、これの除去で改善する場合もあります。なお近年掌蹠膿疱症の誘因としてIL-23の炎症性物質の関与が指摘され、難治の掌蹠膿疱症にこれを抑制するバイオロジックス(生物学的製剤)の注射できるようになりました。当院ではこれが必要と判断された場合には投与可能な施設を紹介しています。

■皮膚潰瘍

感染、糖尿病、動脈硬化症や静脈瘤などの血管障害、下腿浮腫、関節リウマチなどの膠原病などにより、本来であれば治るはずの皮膚の傷が遷延して潰瘍の状態になったものです。またまれに皮膚潰瘍と紛らわしい有棘細胞がん、基底細胞癌、リンパ腫などの皮膚がんの場合もあります。くるぶしや脛などによく見られますが、これは皮膚や皮下脂肪に余裕がなく、心臓よりも常に下方になってうっ血し、血行も不良になりやすいためです。皮膚潰瘍の治療をするにあたりまずはその原因をつきとめて改善をする必要が第一ですが、同時に皮膚潰瘍の局所治療も行います。局所的な治療には、(1)感染のコントロールを行いつつ、(2)壊死した皮膚組織を除去して行きます。壊死組織の除去の方法としてメスや医療用のハサミで外科的に切除する方法とスルファジアジン銀クリームで壊死組織を化学的に溶かして除去をする方法を組み合わせて行います。壊死組織が除去してくると赤色の肉芽組織を生じてくるために、(3)プロスタグランディン軟膏やBasic FGFスプレーなどで血行を促しつつ肉芽形成の促進をさせるようにします。その後(4)肉芽の表面を皮膚が覆うようブクラデシンNa軟膏やイソジンシュガーなどを用います。糖尿病、動脈硬化症や静脈瘤、関節リウマチなどに伴った皮膚潰瘍は治癒した後もちょっとした怪我などから再発をすることもあるので、傷をつけないよう注意し毎日傷ができてないかを観察する必要があります。また下腿浮腫により生じた皮膚潰瘍では治癒後も弾性ストッキングや夜間の下肢まくらなどで挙上し下腿浮腫を悪化させないよう心がけましょう。 なお、保存的に治療しても治らない場合には外科的手術も必要なこともあるため、近隣の医療機関を紹介することもあります。

全身に及ぶもの

■多型(滲出性)紅斑

からだの一部あるいカゼのようなだるさや微熱のあとに続いて手の掌や足のうら、四肢などに弓矢の的のような形のやや盛り上がった紅斑がたくさんできる発疹です。ヘルペスウイルス、マイコプラズマのような病原微生物、鎮痛剤に加えて抗けいれん薬や抗てんかん薬などの薬剤、内分泌異常、悪性腫瘍などをきっかけとしたアレルギー反応によって起こります。特徴的な発疹の形態から熟練した皮膚科医であれば診断は容易ですが、稀に水ぶくれが出来ることもあり眼の周り、口唇、外陰部といった粘膜部のまわりにもできる重症なものもあります。多型紅斑は抗ヒスタミン剤の内服やステロイド外用剤で治療をしますが、全身に発疹がおよぶ場合にはステロイドの内服を併用することもあります。まれに重症化することもあり採血検査で白血球数、CRP(炎症性蛋白)で重症度をみたり、ウイルスや病原微生物の抗体価、場合によっては薬剤のアレルギー検査(DLST:薬剤リンパ球刺激試験)で原因を突き止めることもあります。薬剤が疑われる場合には被疑薬を一旦中止することもあります。重症な多形紅斑をスティーブンス・ジョンソン症候群とよび、全身の皮膚がやけどをしたように剥けてしまい、細菌感染や心不全・肺水腫などを起こして致命的になることもあります。また治癒後も失明や口唇や粘膜部の癒着といった後遺症を残すこともあり、水疱ができる場合は入院のうえ高度な治療ができる医療機関と連携して治療をするようにしています。多形紅斑はまれに重症化することもあるため、発熱につづいて特徴的な発疹がみられた場合にはなるべく早く信頼をできる皮膚科専門医を受診するよう心がけましょう。

細菌感染によるもの

■にきび(尋常性ざ瘡)

「にきび」はおよそ90%以上の思春期の男女が経験する疾患であり、顔、背中、前胸部などの皮脂の多い部位に生じます。赤い小さなブツブツやその中央に小さな膿を持つこともあります。にきびが悪化をすると「おでき」となり、治癒後も赤い痕やクレーターのような陥凹を残すこともあり、十分なコントロールが必要です。にきびは毛穴の角栓と毛包内のアクネ菌感染により生じ、レチノイドやアダパレンなどによる角栓の除去、抗生剤の内服や外用によりにきびの治療を行います。レチノイドやアダパレンは角栓を除去しにきびに極めて有効ですが、皮膚が乾燥しやすいという副作用があり化粧水や乳液、保湿クリームなどによるスキンケアが不可欠です。一方抗生剤の内服はにきびやおできに有効ですが、長期使用できないため難治の場合は漢方薬などを併用することもあります。これらの治療を行っても難治なにきびについては、保険外診療になるため当院ではケミカルピーリング(保険外診療)を適宜併用し、にきびの治療を行っております。

■とびひ(伝染性膿痂疹)

「とびひ(伝染性膿痂疹)」は皮膚の表面に細菌が付着し、増加した皮膚の表在性の感染症のことです。とびひは発疹により水ぶくれやただれを生じるものとカサブタを伴うものに分けられます。前者はぶどう球菌により生じ、後者は溶連菌により生じます。通常は抗生剤の外用により改善しますが、発疹が複数生じている場合などでは抗生剤の内服を必要とすることがあります。まれに抗生剤に効きにくい細菌が原因のこともあります。この場合はとびひは治りにくいこともあり、注意が必要です。治りにくいとびひではまれに重症化することがあり、ぶどう球菌により生じたとびひは重症化した場合、ぶどう球菌の発する皮膚を剥がす毒素により、38℃以上の高熱とともに頚部、脇の下、鼡径部、肘・膝などにあたかもやけどしたような水ぶくれやびらんを伴う紅斑を伴うことがあります。また溶連菌により生じたとびひでは、溶連菌から産生された毒素により腎臓が悪化し、腎不全になることがあります。いずれにせよ入院による加療が必要になるため、とびひを重症化させないように適切に治療することが大切です。とびひを重症化させないためには、抗菌剤を適切に使用することがもっとも大切ですが、当院ではとびひが考えられた場合には、適切に抗菌剤を用いることができるように、原因菌を検索しながらとびひの治療を行なっております。

■蜂窩織炎・丹毒

真皮深層~皮下脂肪織にかけて生じるブドウ球菌やレンサ球菌による細菌感染症です。抗生剤の内服が必要ですが、まれに悪化し38度以上の高熱を発することもあり、入院・抗生剤の点滴治療が必要なこともあります。通常は原因菌に有効な抗生剤を投与することにより1~2週間程度で軽快しますが、関節リウマチや糖尿病などのの基礎疾患を有する場合に罹患すると重度になることが多いようです。溶連菌が原因の場合、ごく稀に「劇症型溶連菌感染症(いわゆる人喰いバクテリア)」となって命に関わることもあります。この場合は患肢を切断することも余儀なくされるため、著しい高熱が続く場合や紅斑腫脹が急速に拡大する場合は特に注意が必要で、近隣の入院が可能な医療機関を紹介することもあります。

かび(真菌)の感染によるもの

■みずむし

「みずむし」は足のゆびの間がジクジクしてかゆみを生じたり、土踏まずなどに小さな水ぶくれを来したり、踵がカサカサしたりしたりする白癬菌(はくせんきん)というカビの一種により生じた足白癬の俗名です。白癬は足以外の場所にも生じ、股に生じたものをインキンタムシ、頭に生じた白癬をシラクモといいます。足に痒みを伴うと足白癬と誤認をされるようですが、痒みを伴なわない場合もあります。当院でも足白癬と誤認され、みずむし薬を外用しかえってかぶれを来して悪化させたと受診されるかたもいます。当院では足白癬が疑われる場合は皮膚の一部を採取し顕微鏡で検査を行ったのちに治療方針を立てるようにしています。「みずむし」は上手にみずむし薬を使用すれば1~3ヶ月程度で治りますが、あしのゆびの間~足の裏全体に外用する必要があります。当院ではみずむしと診断をした場合はみずむし薬の塗り方についても説明をするよう心がけております。

■爪みずむし

白癬菌により爪が白く濁って厚くなったものを爪みずむし(爪白癬)といいます。爪白癬は爪の表面が濁ったもの、先端が白く肥厚したもの、爪全体が白く肥厚したものがあります。爪全体が白く肥厚したものは爪白癬によく似た爪の肥厚(爪甲鈎弯症)ということもあり、他院で爪みずむしと診断されたものの治らないといって当院を受診されるかたもいます。当院では足のみずむしと同様に爪の深部から爪組織の一部を採取し顕微鏡で検査を行ったのちに治療方針を立てるようにしています。爪白癬は非常に治りにくく治るまでに1年以上かかります。以下に爪みずむしの治療概要を示します。内服薬は1回あたりの治療費が高くなりますが、つけ薬と比べて治療期間が短くなるためトータルの治療費はつけ薬と遜色ありません。外用薬は治癒率が低いのすが、爪白癬は爪の表面が濁ったものや先端が白濁し肥厚したものには治癒率が高いと言われています。爪全体が白濁・肥厚したものは原則内服薬で治療しますが、糖尿病、心臓の疾患、脳の疾患などの持病で内服薬が多い場合は、白く濁った爪をできるだけ除去しながらみずむし薬の外用により治療をすることもあります。当院では爪白癬の程度や患者さんの背景を考慮し治療するよう心がけています。

  外用による治療 内服による治療
費用※ (3割負担)

1本 1,050円(ルリコナゾール)

1本 1,770円(エフィナコナゾール)

6,759円/月 × 3ヶ月

= 20,276円(先発品)

839円/月 × 6ヶ月= 4,974円(後発品) 

完全治癒率 15~26%

50~60%

利点 全身への副作用がほとんどない 

完全治癒率が50~60%と高い

治療期間が3カ月~半年程度と短い

欠点 かぶれることがある 肝臓や腎臓に副作用をきたすことある
その他

長期間毎日塗る必要あり

1回の治療費は少ないがトータルでは内服と同じ

毎月血液検査をする必要もある

1回の治療費が外用より高い(トータルではほぼ同じ)

他剤を内服中は併用不可のことあり

※ 薬代のみ。診療料・検査・処方せん料は除く

ウイルス感染によるもの

■単純ヘルペス

疲労やストレスなどにより体の免疫力が低下した時に、口唇や外陰部などの粘膜部にムズムズとした痛がゆさやチクチクとした痛みを生じ、その後小さな水ぶくれを生じることがあり、これを単純ヘルペスといいます。「熱の花」とも言われるように風邪やインフルエンザなどで高熱を出した場合にも生じます。単純ヘルペスは抗ヘルペスウイルス薬の内服薬や外用薬で治療を行いますが、それぞれ一長一短があり単純ヘルペスの程度によりどちらかを選択をします(保険診療上、同時処方不可)。単純ヘルペスはひとたび発症をすると神経の中に潜むため、一生のうちに何度も繰り返すことがありますが、時に固定薬疹といってイブプロフェンやエテンザミドなどの頭痛薬や鎮痛薬によっても単純ヘルペスと似たような発疹をきたすこともあります。固定薬疹は治癒後に色素沈着を残すのでこれが単純ヘルペスとの相違点になりますが、でないと鑑別が難しいため、単純ヘルペスが疑われた場合には信頼をできる皮膚科専門医を受診しましょう。稀にヘルペスウイルス感染後に多型紅斑をきたすこともあります。

■帯状疱疹

水ぼうそうになったことのある人が疲労やストレスなどにより免疫力が低下し、体の一部の片側に痛みを伴う小さな水ぶくれを有する帯状の紅斑を生じることがあり、これを帯状疱疹といいます。帯状疱疹は全身に出現しますが、顔にできた場合は顔面神経麻痺を生じたり、脇の下の周囲に生じた場合は腕の神経麻痺により腕が挙げられなくなったり、外陰部や肛門周囲にできた場合は排尿・排便障害を生じることもため注意が必要です。通常は抗ヘルペスウイルス薬を内服すれば帯状疱疹は治り、その後再発するすることはほとんどありません、時に帯状疱疹が治った後もズキズキした痛みを残すこともあります。これを帯状疱疹後神経痛といい、当院ではビタミンB12 や神経障害性疼痛・線維筋痛症に伴う疼痛治療薬などを用いますが、痛みがとても激しい場合にはブロック注射の可能な施設を紹介しています。稀にヘルペスウイルス感染後に多型紅斑をきたすこともあります。

■手足口病

手の掌や足の裏に多数の水疱が見られます。口の中にアフタ性口内炎のような小潰瘍が多数見られることもあります。皮疹出現1週間くらい前に微熱などのカゼに似た症状を伴うことがあります。手の掌や足の裏に多数の水疱は1週ぐらいで消えますが、皮疹出現後1~3週間程度は唾液中にウイルスが混在し、2~4週は糞便中にウイルスが混在すします。しばらくはマスクの着用、トイレの後やオムツ交換後は手洗いをするなどの感染予防が必要です。しかしその間も通常通り登校や登園は可能です。まれに、脳炎・髄膜炎を併発することがあるため、高熱が持続するようであれば注意が必要です。原因ウイルスが複数存在するため、一度手足口病になっても再燃することがあります。

■みずいぼ(伝染性軟属腫)

「みずいぼ」は、ポックスウイルス科の軟属腫ウイルスが皮膚に感染して増えたものです。幼児に生じますが、学童期になると軟属腫ウイルスへの抗体ができて自然に治ることが多いようです。全身に乾燥と湿疹を繰り返すアトピー性皮膚炎では掻破によりみずいぼが増える傾向にあります。軟属腫ウイルスへの抗体を持っている成人ではみずいぼになることは少ないですが、リウマチなど免疫力が弱いとみずいぼを発症することがあるようです。 軟属腫ウイルスへの抗体ができるまで放置するという方法もあります。しかしその期間は数ヶ月~数年と個人差があり、その間に掻破することでみずいぼが悪化する場合もあります。また保育園や幼稚園によっては、みずいぼがあるとプールでの水あそびを禁じられているところが自然治癒を待つ上での問題となります。 1,2個程度のみずいぼであれば、自然治癒を待って見ることも良いかと思います。しかしみずいぼが急に増えてしまう場合や保育園や幼稚園でプールでの水あそびを禁じられている場合には、積極的にみずいぼを治療する必要があると思われます。 みずいぼの積極的な治療として、(1)ピンセットで摘除する、(2)イソジン液を用いて意図的に皮膚をかぶれさせてみずいぼの排出させるなど方法などがあります。なお漢方薬を用いる場合もありますが、これも軟属腫ウイルスに対する免疫を獲得させることが目的であり、放置する方法と基本的に同一と考えて良いでしょう。 みずいぼが10個以上ある場合、親としては一度にみずいぼを取ってしまいたい気持ちは十分に理解できます。しかしいくら麻酔作用のあるペンレステープを貼ったとしてもみずいぼを1つ取るたびに皮膚を摘まれ、出血をしてくる様子を見る精神的にも未熟なお子さんの心理を察すると気の毒にも思います。お子さんの負担を考慮しながらせいぜい10こずつくらいずつみずいぼを取っていくことも良い方法ではないかと思います。みずいぼを取ると数日でカサブタになってその後1週間程度で治ります。その後多少の「跡」は残ります。なおみずいぼを除去したところを掻破すると「とびひ」になることもあるため、1週間くらいして1度再診すると良いでしょう。

■ウイルス性イボ(尋常性疣贅)

「ウイルス性イボ」とはヒト乳頭腫ウイルスが皮膚に感染することで生じます。主に手の指や足の裏に表面がザラザラとした小さな結節として見られ、多発していることが多いようです。これは手足などは小さな傷ができやすく、そこから入り込んだヒト乳頭腫ウイルスが表皮幹細胞に感染し、分裂・増殖するからです。これを放置するとヒト乳頭腫ウイルスを含んだ表皮細胞がさらに増えることでウイルス性イボは大きくなり、これを掻破して多発させることになります。ウイルス性イボはまれに自然に消えることもありますが、多くの場合は引っ掻いたり、幾度となく触ったり、不適切な民間療法を行なうことで悪化させてから皮膚科を受診することが多いようです。

■ウイルス性イボ(尋常性疣贅)の治療方法

ウイルス性イボの治療は(1)ヒト乳頭腫ウイルスに感染した表皮細胞を変性させる方法(液体窒素療法)、(2)ヒト乳頭腫ウイルスに感染した細胞が増えることを抑える方法(活性型ビタミンD3:オキサロール軟膏)、(3)ヒト乳頭腫ウイルスに感染した細胞同士の接着性を低下させてイボを剥がす方法(サリチル酸絆創膏:スピール膏)、(4)ヒト乳頭腫ウイルスへの免疫力を高める方法(ヨクイニンエキス内服)、(5)ヒト乳頭腫ウイルスに感染した細胞を物理的に除去する方法(外科的切除:イボ剥ぎ法)があります。イボの治療方法にはそれぞれに一長一短がありますが、一度表皮細胞に感染したヒト乳頭腫ウイルスを除去して根治するのは数カ月以上を要します。当院ではこれらのイボの治療方法を適切に組み合わせ治療しています。

集団生活で感染してしまうもの

■あたまじらみ

小学校や幼稚園、保育園などの集団生活をする小児の頭髪によく見られます。毛髪に白色の付着物があり、痒みを伴うといって受診するケースが多いようです。この付着物があたまじらみの虫卵で、爪をたててしごくようにしないと取れない点がいわゆるフケとの相違点です。枕やベットシーツなどを介して家族内感染をするため、家族内の一人でもあたまじらみがみられた場合には家族全員一斉に治療をする必要があります。残念ながら処方薬はなく、市販のスミスリンLシャンプー(2,898円)、しらみとりシャンプー(2,170円)を用いて駆除します。3日に1度の頻度で合計4回繰り返し用います。しらみの虫体は体から離れてしまうと死滅しますが、虫卵は感染力を有するためシーツや枕カバーは毎日交換し、60℃のお湯に10分浸した後洗濯することが望ましいようです。

 

■疥癬

ヒゼンダニ(疥癬虫)が皮膚に寄生し、激しいかゆみを伴う感染性の皮膚疾患です。長時間肌と肌が直接触れることで感染し、1~2ヵ月の潜伏期間を経て発症します。手や足のゆびの間に線状の角化性病変(疥癬トンネル)が見られたり、脇の下、お腹や背中に1cm 程度の痒みを伴う赤色の結節性病変が特徴的です。近年では高齢者の介護施設やデイサービスの利用者間で感染することが多いようです。健常者であればわずかな肌と肌の接触で感染することはほとんどありませんが、まれに疥癬に罹患している高齢者を介護するスタッフや家族間に感染することもあります。治療は駆虫剤(ストロメクトール)の内服や駆虫剤(オイラックス)を塗り、ヒゼンダニを駆虫します。駆虫剤を塗る場合は”塗り残し”がないように首から下の全身に塗ります。特に手足のゆびの間や外陰部などは塗り残しやすいので、塗り残しやすい部位から駆虫剤を塗ることが大切です。対症療法として痒み止めを内服することもあります。治癒した後も2、3ヶ月間にわたって痒みが続く「疥癬後そう痒」を残すこともあり完全治癒を見極めることが困難ですが、2,3回検鏡し疥癬が完全に駆除したことを確認します。なお、疥癬は寝具や衣類を介して感染者が増えることがあります。疥癬の蔓延を予防するためにシーツ、枕カバー、下着は毎日交換・洗濯することが推奨されます。さらに洗濯する前に60℃のお湯に10分間浸すと、虫体・虫卵とも死滅し、効果的です。

物理的障害によるもの

■日焼け、紫外線により生じた皮膚炎

日焼けとは文字通り日光による皮膚障害のことですが、その原因は日光の成分である紫外線によって起こります。紫外線は波長の長さによりA波、B波、C波に分けられます。A波は「サンタン」といって色素沈着を引き起こしますが、繰り返しA波の暴露を受けると「しみ」の原因になります。日焼けはB波によって生じ、B波に暴露した翌日までに皮膚が赤くなります。B波を長年繰り返す暴露すると「しわ」が増えるばかりか、皮膚がんの原因になるとされています。C波はオゾン層により吸収され、私たちが暴露されることはありません。私たちはA波とB波による日焼けは絶対に避けなくてはなりませんが、そのためにはまずは紫外線の性質を理解する必要があります。

■紫外線を避けるためには?

日本では紫外線量が多い時期は5月〜9月頃で、そのなかでも午前10時〜午後2時までの時間帯がもっとも多いとされています。日焼けを避けるためにはこの時間帯での不要不急の外出を避ける必要がありますが、学校や仕事、余暇など日常生活を送れなくなってしまいます。その他紫外線を避けるために日焼け止めを用いる方法があります。日焼け止めにはA波を防御する指数としてPA、B波を防御する指標としてSPFがあります。これらの指標が高い日焼け止めを使用したとしても、汗で日焼け止めが流れてしまったり、汗をタオル等で拭いてしまう際に日焼け止めも同時に拭いとってしまうため数時間ごとに塗り替える必要があります。また日焼け止めを塗る際には通常2回重ねて塗る必要があるなど、日焼け止めを過信しないよう注意が必要です。

■特殊な日焼け、日光アレルギー

外出をすると必ず顔や腕などの紫外線に暴露する部分が赤くなるという主訴で受診される患者さんを時々見かけることがあります。内服薬を聴取して見ると利尿作用のある降圧剤、痛み止め、化膿止めなどを内服していることがあり、中止・変更をすると改善することがあります。これを光線過敏型の薬剤アレルギーと言い、A波紫外線により起こるとされています。またケトプロフェンなどの湿布剤を貼付したところが紫外線に当たるとかぶれることがあります。これを光接触皮膚炎と言いますが、湿布を剥がした1週間後に生じることもあります。安易に自宅にある余った湿布などを首や腕などに張らないように注意しましょう。

■しもやけ

しもやけは寒冷刺激を繰り返し受けることで手足のゆび先が赤く腫れていたがゆさを伴う疾患です。体質的にしもやけが生じやすいことがあり、子供や女性、手足の冷たい体質を示すひとなどに多いようです。ときに耳介(耳たぶ)や鼻尖部(鼻の先)にもしもやけができることもあります。最低温度が3℃前後となり1日の気温の較差が10℃前後になる11月末〜3月上旬にしもやけはできやすく、手足の血液循環が悪くなることでゆび先がうっ血し、かゆみや痛みを生じます。しもやけを繰り返すと水ぶくれや潰瘍を伴うこともあります。しもやけは小児によく見られ指全体が赤く腫れてしまうもの(樽柿型)、成人に多く見られ標的〜虹彩状になるもの(多型紅斑型)があります。しもやけの治療は生姜を含む漢方薬(当帰四逆加呉茱萸生姜湯)、トコフェロール(ユベラ錠)の内服、トコフェロール(ユベラ軟膏)やヘパリン類似物質の付けぐすりでまず末梢循環を改善をさせます。その上でステロイドの付けぐすりで腫れや痒みを鎮めます。しかし、しもやけは寒い時期には外出時に手袋をする、入浴時に5分程度ゆび先をマッサージしうっ血を防ぐといった予防が第一です。さらに小麦胚芽やアーモンド、かぼちゃなどビタミンEを多く含む食餌で末梢循環を良好にすることも大切です。なお、まれに5月以降になってもしもやけもどきの発疹を見ることがあります。これは自己免疫疾患で末梢循環が傷害された結果起こるものでエリテマトーデスや自己免疫性血管炎などといった膠原病の皮膚症状として見られます。このような場合は内臓への障害を伴うこともあり、血液検査が必要です。

     

■やけど

やけどは熱による皮膚障害です。熱以外にも強酸やアルカリなどの化学薬品で起こるもの(化学熱傷)や高圧の電気によって生じるもの(電撃傷)があります。 やけどは治癒までの期間と治癒後の皮膚変化の有無でⅠ度からⅢ度にまで分類されますが 、Ⅱ度のやけどは浅いものと深いものがあります。やけどの深さによる分類を以下に示します。Ⅰ度のやけど以外は受傷後数日〜1,2週程度でやけどの深さが明瞭になるため、受傷直後はやけどの程度を評価することができない場合が多いです。このためやけどの程度や治癒期間の判定は受傷後しばらくしてから行ないます。やけどの深さは熱源の温度と接触時間に比例します。70℃以上の高温では1秒触れただけで熱により皮膚が変性しますが、熱源の温度が44℃と低温でも6~10時間も接触をしていると皮膚は変性します。これを低温熱傷と言いますが、接触時間が長いため皮膚の傷害は深くなる傾向にあります。主な低温の熱源は湯たんぽ、使い捨てカイロ、電気カーペットなどであり、飲酒による泥酔、糖尿病による知覚麻痺、半身麻痺のひとなどに生じやすいようです。寒い時期に使用する低温の熱源は肌に長く当てがちになりますが、同じ部位に熱源を当て続けないようにしましょう。やけどは熱による皮膚の変性が深いほど治療に時間がかかります。このためやけどをした直後から皮膚の傷害による変性を抑えるよう流水で5~15分間は冷却しましょう。その上でやけどの深さにや状態により使用する付けぐすりや治療方法が異なるため、自己判断をせずに信頼できる皮膚科専門医を受診し適切な治療を受けましょう。やけどにより変性した皮膚は細菌感染をしやすいため、毎日入浴やシャワーなどで患部を洗い流して清潔に保つことも重要です。

深 さ 症 状 治 療 経 過
Ⅰ 度 赤く腫れた発疹、ヒリヒリした痛み ステロイド外用剤 数日で跡形なく治癒
Ⅱ度(浅い) 水ぶくれ、ただれ、焼けるような痛み 化膿止め、皮膚潰瘍薬 1~2週間で色素沈着
Ⅱ度(深い) 潰瘍、焼けるような痛み 化膿止め、皮膚潰瘍薬、ゲーベンクリーム・ハサミを用いた壊死組織の除去、植皮手術 1~2ヶ月で瘢痕を残す
Ⅲ 度 潰瘍、焼けるような痛み 化膿止め、皮膚潰瘍薬、ゲーベンクリーム・ハサミを用いた壊死組織の除去、植皮手術 長期にわたる。重度の瘢痕を残す

毛髪の疾患

■脱毛症

脱毛症とはなんらかの理由で毛髪の密度が薄くなったり、毛髪そのものが消失する状態です。ここでは円形脱毛症と壮年性脱毛症について説明をいたします。

   

■円形脱毛症

脱毛症の中で最も多く見られます。従来はストレスにより円形脱毛を起こすと思われていましたが、最近は自分自身の免疫が毛組織に悪さをすることで円形脱毛になると考えられています。多くは頭部に1、2ヶ所の10円~500円大の脱毛斑が見られますが、頭の毛がすべて抜けるもの(全頭型)、頭部以外に眉毛・まつ毛・ 腋毛・陰毛などの体毛が抜けてしまうもの(汎発型)があります。髪の毛と似た構造をもつケラチンに異常が見られ時に爪に点状の凹みがみられることもあります。

 

■円形脱毛症の治療

毛組織への自己免疫反応を抑えることが第一です。その上で毛組織への血流を促し発毛を促進します。ステロイド外用剤や塩酸カルプロニウム液(フロジン液)を持ちます。脱毛が急速に進む全頭型や汎発型ではステロイドの内服や点滴を行うこともあります。ある程度進行をした場合、凍結療法やSADBE療法などを行います。ナローバンドUVB療法という紫外線の照射する方法もありますが、当院では行なっていません。円形脱毛症の多くは自然に治ることが多いのですが、長期にわたって繰り返したり、急速に進行して全頭型や汎発型の円形脱毛症になることもあります。このため早めに皮膚科専門医を受診し、治療することが大切です。

■壮年性脱毛症(AGA)

青年期~中年期以降の男性に多くみられ、前頭部や頭頂部の毛髪密度が薄くなることが特徴です。3人に1人の頻度でみられ、年齢が高くなるほど頻度は高くなります。ひげや胸毛の濃い男性に多くみられ、男性ホルモンが関与しています。

 

■ヘアサイクルと壮年性脱毛症の発症メカニズム

毛髪には成長期、退行期、休止期のヘアサイクルによって毛髪量を保っています。成人ではおよそ10万本の毛髪があり、その9割が成長期で、1割が退行期と休止期です。成長期は毛髪が太く長く2~6年間成長を続けます。その後抜け落ち3~4ヵ月の休止期を経て成長期に戻ります。退行期と休止期にかけて1日あたり80本~100本の毛髪が抜けます。壮年性脱毛症では成長期の寿命が数ヶ月~1年程度と短く、毛髪の成長が不十分でうぶ毛のような毛髪になっています。男性ホルモンの感受性が高いと成長期が短くなり、これをコントロールするのが毛乳頭にある酵素(I型およびII型5‐α(アルファ)‐レダクターゼ)です。

 

■壮年性脱毛症の症状と種類

壮年性脱毛は男女問わず発症します。男性では額の両端の毛髪密度が薄くなるM型、頭頂部が薄くなるO型、M型とO型の混合型があります。女性では前頭部から頭頂部にかねてびまん性に毛髪密度が薄くなります。

       

■壮年性脱毛症の治療

壮年性脱毛症は毛髪の男性ホルモンの感受性を抑え、毛乳頭への血行を促進し治療します。フィナステリド製剤(プロペシア®)やデュタステリド製剤(ザガーロ®)は毛髪の男性ホルモンの感受性を抑制し短くなった成長期を回復します。男性への有効率は高いのですが、女性には無効です。OTC薬として市販されているミノキシジル製剤(リアップ®)は毛乳頭への血行を促し、男女問わず有効です。壮年性脱毛症が進行し毛幹まで障害されると不可逆的となるため、できるだけ早く皮膚科を受診し治療することが肝要です。

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